日越大学(VJU)が新たな発展段階へ|日本とベトナムの高度人材育成・産学連携

国際教育・産学連携 未分類

日本とベトナムの協力によって設立された 日越大学(Vietnam Japan University:VJU)が、 新たな発展段階を迎えている。 2016年の開学から10年を迎える2026年、 日本の国際協力機構(JICA)は 大学の教育・研究・産学連携を さらに強化するための新たな支援を進めている。 日本の大学との教育研究協力に加え、 日本企業との共同研究、インターンシップ、 キャリア支援の充実も重要な課題となっている。 日越大学の歩みから、 国境を越えた高度人材育成と 産学連携の可能性を考える。

日越大学(VJU)とは

日越大学は、ベトナムの首都ハノイにある ベトナム国家大学ハノイ校のメンバー大学である。 ベトナム政府と日本政府の協力のもとで 設立が進められ、2016年9月に開学した。

大学の設立構想は、日本とベトナムの 友好関係を背景に、 国際社会で活躍できる高度人材を 育成することを目指してきた。 日本の大学や研究機関との連携を取り入れながら、 教育・研究の質を高め、 ベトナムの社会・産業の発展に 貢献することを目的としている。

日越大学は日本への留学だけを目的とした 教育機関ではない。 ベトナム国内に設置された大学として、 学生の教育、大学院研究、国際交流、 産業界との協力を進めている点が特徴である。

出典: JICA「日越大学教育・研究・運営能力向上 プロジェクト」概要

2016年の開学から10年、日本とベトナムの協力

JICAによると、日越大学構想の実現に向けた 政府間の協力は、2013年12月および 2014年3月の日越首脳会談でも確認された。 ベトナムの高等教育の質向上と、 産業の高度化を担う人材の育成が 重要な背景にあった。

JICAは2015年4月から 日越大学修士課程設立プロジェクトを開始し、 大学の組織体制の整備や 修士課程の開設などを支援した。 2016年9月の開学後、 大学院教育を中心に段階的な発展が進められた。

JICAの事業資料によれば、 2019年7月までに修士課程の8プログラムが 開設され、130名の修士号取得者を輩出した。 これは2019年7月時点の実績であり、 2026年現在の累計卒業者数を 示すものではない。

大学院教育から始まった取り組みは、 学部教育、研究活動、大学運営の強化へと 対象を広げている。 単に大学を開設するだけでなく、 長期的に教育・研究の質を維持できる 大学づくりが重視されている。

出典: JICA・日越大学プロジェクト概要

2026年、新たな大学強化プロジェクトへ

日越大学をめぐる2026年の重要な動きは、 教育・研究・産学連携・大学運営を 強化する新たなプロジェクトである。

JICAが2026年4月8日に公示した 「ベトナム国日越大学強化プロジェクト」 関連資料によると、 2026年2月6日に技術協力の基本文書 (R/D)が署名された。 プロジェクトの協力期間は、 2026年9月から2031年8月までの 5年間を予定している。

新たな協力では、 教育の質と研究力の向上だけでなく、 大学と産業界を結びつける仕組みの強化が 重要な目標となっている。 具体的には、共同研究や受託研究の機会、 企業との連携体制、 学生のキャリア支援などが挙げられている。

特に、日系企業を含む民間企業への インターンシップ・就職機会の拡充や、 キャリア支援体制の整備が 期待される成果として明記されている。 ただし、これは事業の目標・計画であり、 すべての成果が実現済みであることを 意味するものではない。

出典: JICA「ベトナム国日越大学強化プロジェクト」 関連公示資料(2026年4月8日)

日本の大学が支える教育・研究協力

日越大学の教育研究活動には、 日本の複数の大学が協力している。 JICAが2023年に紹介した大学支援体制では、 日本の7大学が国内支援大学として 教育課程や研究指導に関わっていた。

日本側の大学 協力の枠組み
茨城大学 2023年にJICAが紹介した 国内支援大学の構成。 各大学が担当分野に応じて 講義、教育課程運営、 研究指導、学生・教職員の 受け入れなどに協力。
大阪大学
立命館大学
東京大学
筑波大学
早稲田大学
横浜国立大学

こうした協力は、 日本の教員が海外大学で教育を行うだけでなく、 学生交流、学術研究、教育プログラムの改善など、 複数の側面を持っている。

なお、上記7大学は2023年のJICA公表資料に 基づくものであり、 2026年時点の全参加大学や 新たな協力体制を網羅する一覧ではない。

大学間協力を長期的に継続するために

日越大学は2026年、 日本の大学との協力を長期的に発展させる 新たな枠組みとして、 VJU Consortiumを通じた支援体制へ 移行する方針を公表している。

今後は、教育プログラムの運営とともに、 研究機関・大学・企業をつなぐ 連携の継続性が重要になる。

出典: JICA MAGAZINE・日本の大学との教育協力 (2023年)
ベトナム国家大学ハノイ校・日越大学紹介

日本企業との産学連携はすでに始まっている

日越大学の特徴の一つは、 日本企業との具体的な教育・産業連携実績を 持っていることである。

JICAは2021年4月9日、 日越大学が三谷産業株式会社および 株式会社小金井精機製作所と 企業連携講座に関する協定書を締結したと発表した。

三谷産業はベトナムでの事業展開を通じた 知見を持ち、 小金井精機製作所は ベトナム人技術者とともに 日本のものづくりに取り組んできた経験を持つ。 こうした企業の知識や技術を教育に結びつける 連携講座として位置づけられている。

同じ2021年のJICA発表では、 当時、日越大学の卒業生の約2割が、 日系企業を含む日本企業で 活躍していることも紹介された。 この数字は2021年の発表時点の情報であり、 2026年現在の就職率を示すものではない。

日本とベトナムの教育協力が、 大学での学びから産業界での活動へと つながっている具体的な事例である。

出典: JICA「日越大学が日本企業と 企業連携講座に関する協定書を締結」 (2021年4月9日)

2026年の教育分野と高度人材育成

日越大学は、教育・研究の重点領域を 社会科学から先端理工学分野へと 広げている。

大学が2026年7月21日に発表した 設立12周年の記事では、 半導体チップ技術、知能制御・自動化、 グローバル開発・イノベーション、 持続可能な科学技術・環境などの 教育プログラムが紹介されている。

半導体、制御技術、工学、環境分野は、 ベトナムの産業高度化だけでなく、 日本企業にとっても関心の高い 技術領域である。 これらの分野での教育研究が、 将来的な共同研究や企業との協力に どのようにつながるかが注目される。

大学は2030年に向けて、 学生数約6,000名、 教育プログラム約30件を目標としている。 これらは大学の将来目標であり、 2026年現在の実績ではない。

出典: 日越大学「12 Years of VNU Vietnam Japan University」 (2026年7月21日)

大学と日本企業を結ぶキャリア支援の重要性

国際的な大学教育において、 卒業後の進路支援は重要な課題の一つである。 専門知識を学ぶだけでなく、 企業が求める技能や実務経験に 触れる機会が必要になる。

2026年のJICA事業資料でも、 インターンシップ先の開拓、 日本およびベトナム国内の日系企業との連携、 就職・キャリア支援の充実が 具体的な活動として挙げられている。

海外大学の学生が日本企業とつながる方法には、 現地の日系企業への就職、 日本国内での採用、 研究開発を通じた交流など、 複数の経路が考えられる。 それぞれ必要な語学力、 専門能力、雇用条件、 在留資格などは異なる。

大学の教育課程と産業界のニーズを 継続的に結びつける仕組みは、 高度人材育成における 重要な要素となる。

出典: JICA・日越大学強化プロジェクト関連資料 (2026年4月8日)

TORANOMON JAPAN DESKが注目する国際教育と産業連携

虎ノ門商事株式会社は、 TORANOMON JAPAN DESK(TJD) を通じて、日本と海外の企業、 教育機関、産業分野をつなぐ 機会づくりに取り組んでいる。

また、外国人留学生と日本企業との 接点づくりを目的とした URESHII Student JobNav など、教育から就職へとつながる 支援の仕組みづくりも進めている。

日越大学の取り組みは、 大学教育、研究協力、 企業との連携、キャリア形成を 一体的に考えるうえで 参考となる国際的な事例である。

なお、本記事は公開資料に基づく 情報提供を目的としている。 虎ノ門商事株式会社と日越大学との 公式な提携関係や、 同大学の学生募集・就職紹介に関する 契約関係を示すものではない。

まとめ|日越大学の10年と次の5年間

日越大学は2016年9月の開学以来、 日本とベトナムの大学教育協力を 具体化する高等教育機関として 発展を続けてきた。

日本の大学による教育・研究支援に加え、 日本企業との連携講座など、 産業界との接点も築いている。 2026年には、新たな大学強化プロジェクトの 枠組みが整えられ、 研究力の向上、産学連携、 インターンシップ、キャリア支援が 重要な取り組みとして位置づけられている。

大学設立から教育研究体制の整備、 そして産学連携の強化へ。 日越大学の動きは、 日本と海外が協力して高度人材を育成する 取り組みの継続性を示している。 今後も公式発表に基づき、 教育・研究・企業連携の進展を 確認していきたい。

参考資料・一次情報

  1. JICA:日越大学教育・研究・運営能力向上 プロジェクト概要
  2. JICA:日越大学強化プロジェクト関連公示資料 (2026年4月8日)
  3. JICA MAGAZINE:大学との教育協力 (2023年)
  4. JICA:日本企業との企業連携講座 (2021年4月9日)
  5. ベトナム国家大学ハノイ校:日越大学紹介
  6. 日越大学:設立12周年の公式発表 (2026年7月21日)

情報確認日:2026年10月14日。 数値および計画は各発表時点の情報です。 教育課程、企業連携、就職実績などの 最新状況については、 日越大学およびJICAの公式発表を ご確認ください。

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